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【ピュシカ星の船】 いちごは学校の帰り道、空から落ちてくるUFOを見てしまった。 おどろいて見ていると、UFOから宇宙人が出てきた。肌が青味がかっていて、髪が銀色で、耳がとんがっているが、人間にそっくりである。 「こんにちは。ぼくはピュシカ星の王子で、リゲルといいます」 宇宙人の、しかも王子さまに礼儀正しく挨拶されてしまったので、いちごもあわてて言った。 「こ、こんにちは、わたしは地球の小学生の、いちごです」 リゲルは単独で地球の調査に来たのだが、宇宙船の故障で墜落してしまったこと、離れたところにいる母船に連絡したので、数時間後に救助が到着することを話してくれた。 「もしよかったら、救助の船が来るまでの間、この辺りを案内してくれませんか?」 「えっ…、わたし?そんなの無理です、子どもなので…」 いちごはあわてて言った。大人の人に頼んだ方がいい、と。 しかしリゲルは、騒ぎになると面倒だし、時間がもったいない、と言った。そして、「そんなに難しく考えないで、ただの散歩のようなものだから」と言って譲らなかった。 結局、いちごはリゲルを案内することになり、一度家に帰ってランドセルを置くと、片っ端から自分の知っている場所をまわった。人通りの多い商店街を歩いたり、走る電車を眺めたり、公園で遊んでみたり。 最後は、町外れの小さな森へ行った。リゲルはここが一番気に入ったと言った。この森で小川を見つけた二人は、夕方になるまでそこで遊んだ。 「ありゃ、服が濡れちゃったね」 いちごはびしょ濡れのスカートをつまんで言った。 「うん。でも、すごく楽しかったよ。ありがとう…」 ──もうそろそろ、救助の船が来るだろう。そうしたら… リゲルは、いちごを見た。そして、決心した。 「いちごちゃん、聞いてほしいことがある」 リゲルは自分が地球に来た理由を話し始めた。 「ピュシカ星はこの地球によく似た星だったんだけど、何年も前に、環境破壊が進んで住めなくなってしまったんだ。ピュシカの民は星を離れ、今は大きな宇宙船で暮らしている。ぼくは宇宙船で生まれたんだよ。…でも、宇宙船で暮らすのはとても難しいんだ。いろいろとね。だから、ずっと新しく移住できる星を探し続けているんだけど、住めそうな星はなかなか見つからなくて──」 リゲルは考え込むように言葉を止めた。 「じゃあ、地球に来たのも…?」 いちごが聞くと、リゲルは空を見つめながら言った。 「…そう。ぼくたちが地球に住めるかどうかの調査なんだ。この星はとてもいい星だと思う」 「じゃあ、地球に住むの?」 「このままだと、そうなってしまうかもしれない」 「じゃあ、また一緒に遊べるね!」 いちごは顔を輝かせた。が、リゲルはうつむいて言った。 「それは難しいと思う…」 リゲルは続けた。 「ぼくたちは地球人と同じくらいの人数がいるから、住む場所がとてもたくさん必要なんだ。もし移住すると決まれば、地球人と戦うことになると思う。もちろん、ぼくはそんなことしたくないけど、ピュシカの民は宇宙船での不便な生活に疲れ果てて、爆発寸前で…過激なことを言う者たちも増えてきているんだ」 「戦うだなんて…そんな…」 いちごは声を震わせた。 「わかってる。いい方法を考えたんだ。君を…地球のみんなを守るために」 「なに?」 「ぼくと、結婚してほしい」 「・・・はぁ!?」 しばらく時間が止まったようだった。いちごは唖然としてリゲルを見つめていた。すると、リゲルが笑い出した。 「…ふふふ。あははは…そんな顔しないでよ。ごめんごめん、建前上、つまりウソでいいから結婚してくれれば…いや、とりあえず、婚約でいいんだ。ぼくもまだ子どもだし」 「なんで?どうして?」 「えっとね──」 理由はこうだった。ピュシカ星では、「結婚」はとても大切にされており、リゲルの──つまり、王子の結婚相手の住む星を攻めることは、いくら今の状況だとしても、絶対にない、というのである。 「そう…!それなら、うん。わかった。そうする」 「よかった。それにしても…いくら驚いたからって、あの反応はショックだったなぁ」 「うふふ」 「あははは」 そして、二人は宇宙船が墜落した場所に戻った。程なくして、救助の船はやってきた。 「じゃあ…行くね。…それじゃあ」 「えっと…あ、…うん」 なんとなく、二人とも何か大事なことを言いたい気がして、もじもじしてしまう。 「そうだ、これ、王家に伝わる指輪なんだけど。あげるよ」 リゲルは不思議な色の金属でできた指輪をいちごに渡した。 「なんで!?いいの?」 「いいよ、未来のお嫁さんだもん」 ──そして、リゲルは宇宙へ帰って行った。 もちろん、地球人は攻撃されなかった。 その後間もなく、ピュシカの民は環境が良く、知的生命体の存在しない、生まれたばかりの星を発見し、そこへ移住することができたという。 数年後、地球に再びピュシカの宇宙船がやってくるのだが…それはまた別のお話。 おしまい 【あとがき】 とりあえず、ひとつ描いたので載せました。ひとつだけだと、よけい恥ずかしいですね。 いくつかあれば、はずかしさも分散して、ぼんやりしてくると思うんですけど…。 最初、何も考えずに書いていたらどんどん長くなって、途中で書くことに飽きそうになってきたので、細かい部分は全部消して、ざっくり短くしました。 児童書っぽく、やさしい文章で漢字を少なめにしたりして書こうか…とも思ったんですが、力量が足りないので(書くだけで精一杯です)やめました。結局、何も考えないで書きました。 今後もしばらくは、短いので練習しようと思います。 |